ツグ君とベルさん

0

     

     

    ( ずっと一緒 )

     

     

    陽射しがトウキビの葉っぱを縫って

            ツグ君のシャツに模様を付けます

     

    ツグ君が走れば 模様も走ります

     

    「 おばあちゃん、お髭の黒いこのトウキビも捥いで良い? 」

     

    「 どれ、どれ 」

     

    おばあちゃんはトウキビの皮を少しめくり

     

    「 次春、これを捥いだらエンドウ豆も集めておくれ 」

     

    「 うん、わかった 」

     

    ツグ君はトウキビの髭をちぎり、それを顎に当てると

     

    「 あ〜ちゃん、お爺さんだぞぅ 」

     

    「 あ〜ちゃんも、あ〜ちゃんも 」

     

    ・ ・ ・

     

    エンドウの畑は人を拒むように

     

    その弦を城壁の様に伸ばし 行く手を阻んで居るように見えます

     

    ツグ君は畑の奥まった場所に

     

    一際大きなエンドウ豆の実を見つけ

     

    両手でその実を引き千切ろうと引っ張ります

     

    ドシン!

     

    弦が千切れると同時にツグ君はしりもちをついてしまいました

     

    「 あれ? 」

     

    両手で包んでいるエンドウの鞘が淡い緑色に光っている

     

    指先を少しずつ広げると 声が聞こえます

     

    「 ファァ〜ッ 」

     

    広げた手のひらの上で 小さな妖精が伸びをしています

     

    ツグ君は、顔を近づけ覗き込むように

     

    「 僕は川上次春、君はだぁ〜れ 」

     

    「 あっ、わかった、ベルさんでしょ 」

     

    「 僕、ご本で読んだことが有るから知ってるんだぁ 」

     

    パフッ

     

    ツグ君は手のひらをいきなり閉じると走り出し

     

    「 おばあちゃん、ベルさんを見つけたよ 」

     

    おぱあちゃんは ツグ君の差し出す手のひらを眺め

     

    「 大きなエンドウだけど それだけじゃ足りないよ 」

     

    ツグ君の肩の上で声が聞こえる

     

    「 フフフ、ベルはツグ君にしか見えないよ 」

     

    「 次春、エンドウ豆をこのザル一杯に

                 取って来ておくれ 」

     

    おばあちゃんはツグ君にザルを渡すと

              トウキビの入った籠を持ち上げ

     

    「 ばあちゃんは、ちょっとトウキビを

                家に置いてくるからね 」

     

    と言って、ツグ君の話は聞いて貰えません

     

    「 あ〜ちゃん、あ〜ちゃんはベルさんが見える? 」

     

    「 あ〜ちゃん、わかんない 」

     

    ベルさんはあ〜ちゃんの肩の上に乗って

     

    「 フフフ 」と笑い

     

    淡い光を残して、スゥーとエンドウ畑に消えていきました

     

    ・ ・ ・

     

    夕ご飯を済ますと おばあちゃんが

     

    「 次春、彩那、パパとママに

             おやすみなさいをしようね 」

     

    ツグ君は慣れた手つきで仏壇の引き出しから

                   お数珠を取り出し

     

    「 はい、あ〜ちゃん 」

     

    二人はおばあちゃんの後ろに並んで正座をします

     

    チーン

     

    ツグ君はパパの匂いを覚えています

     

    ママの匂いを覚えています

     

    パパとママを車ごと飲み込んだ

          赤い赤い炎を覚えています

     

    「 ナムナム・・・・ 」

     

    「 おやすみなさい 」ペコリ

     

    「 次春、寝る前にオシッコに行くんですよ 」

     

    「 もう行ったよ 」( 噓です )

     

    「 おにいちゃん、オネショしちゃだめですよ 」

     

    「 あ〜ちゃんは、うるさいのっ 」プンプン

     

    布団の中でウトウトしていると

     

    「 ツグ君、ツグ君、オシッコに行くんでしょ 」

     

    「 う〜ん 」

     

    「 ツグ君、ツグ君、起きて、起きて 」

     

    瞼を少し開けるとベルさんが鼻の頭に立っています

     

    ツグ君は目をこすりながら布団から立ち上がると

     

    おじいちゃんが「 ツグ、どうした 」

     

    「 うん、オシッコ 」

     

    「 おぅ、行っといで 」

     

    縁側に出ると トイレまでの廊下を

     

    ベルさんが案内するみたいに

     

    スィー っと淡い光の筋を付けて飛んで行きます

     

    バタン

     

    オシッコが終わり トイレから縁側の廊下に出ると

     

    少し冷たい風が ツグ君の背中を押します

     

    エッグッ!

     

    ツグ君の瞳から大きな涙が頬を伝い落ちてゆきます

     

    「 ママ、・・ママ 」

     

    ウゥッ、ウゥッ、ウッ、ウッ、

     

    涙がとめどなくポロポロと落ちていきます

     

    「 ツグ君、泣かないで 」

     

    「 ツグ君、ツグ君、 」

     

    「 ベルがついているからね 」

     

    「 ベルはずっと一緒だからね 」

     

    ベルはツグ君のほっぺに体を摺り寄せて

     

    「 ベルが居ればさみしくなんかないよね 」

     

    「 うん、ウゥッ、ウゥッ 」

     

    ツグはベルに返事をしながら

        フラフラと布団に潜り込みました

     

    やがてツグが静かな寝息を立てるまで

          ベルはずっとツグ君の頬を撫でていました

     

    ・ ・ ・

     

    朝、おばあちゃんはツグ君の布団の中に手を入れると

     

    「 よし! 大丈夫 」と小さく呟きます

     

     

     

     

     

           ↑ブログトップへ

     

     

     

     

     


    スポンサーサイト

    0
      • 2018.01.18 Thursday
      • -
      • 11:07
      • -
      • -
      • -
      • by スポンサードリンク

      コメント
      コメントする








         
      この記事のトラックバックURL
      トラックバック

      PR

      calendar

      S M T W T F S
       123456
      78910111213
      14151617181920
      21222324252627
      28293031   
      << January 2018 >>

      記事のご案内

      その他のサイトのご案内



      とっの紙芝居
      ( 自作小説 )
      ◎ 啓太の一日

      とっの
      読み切り恋愛小説

      ( 自作小説 )
      ◎ 計画的
      運任せの恋愛事情

      ◎ 金木犀

      ワン・ニャン・ガーデン

      とっのお仕事だぁ〜

      とっのちょっと、おでかけ
      ( 自作小説 )
      ◎ イメージ・トラベラー

      とっのコメント・ライフ
      ( コラム )
      ◎ コメ・コメ・クラブ

      とっのカーライフ
      ( 自作小説 )
      ◎ 計画的運任せの
      恋愛事情 2

      ◎ 白パト

      とっのアフィチャレ

      とっのファンタジー小説
      ( 自作小説 )
      ◎ 穿光の巫女

      ◎ 夕宙の下 ( ゆうぞらのした )

      とっのスポ・カル
      ( 自作小説 )
      ◎ 計画的運任せの 恋愛事情 9
      ( チャレンジ・ゲーム )


      とっのリリカルSF小説
      ( 自作小説 )
      ◎ バッテリーマン 
      ◎ ブルー・ワスプ

























      プレミアムバンダイ





      タカラトミーモール


      ベルメゾンネット














      selected entries

      categories

      archives

      recommend

      links

      profile

      search this site.

      others

      mobile

      qrcode

      powered

      無料ブログ作成サービス JUGEM