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    • 2018.03.18 Sunday
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    真奈 ・ 1

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                      ( 何か居る )

      「 う〜ん 」・・・
      モゾ、モゾ 「 えっ! 」
      ( 布団の中に 何か居るっ )パサッ、ソロリ、ソロリ、
      聖は 布団から慎重に抜け出した!
      何が潜んでいるのか解らないが 正体を確かめねば
      意を決して 掛け布団をゆっくりと捲り上げて見る
      「 あれっ! 」
      布団の中には パジャマ姿の小さな女の子が 寝息を立てていた
      「 かあさ〜ん 」
      ・・・
      「 聖、子供じゃ有るまいし 朝から大きな声を出して 騒々しいねっ 」
      聖は 布団の中の女の子を指差し「 かあさん、この子 」
      「 あっ、真奈ちゃん 何時の間に こんな所に? 」
      「 何処の子? 」
      「 自分の娘に対して 何処の子は無いだろっ 」
      「 ほんとにっ、あたしが言いたいよっ、
                お前は 一体何処の子なんだい
                      そんな子は育てた覚えは無いよ 」
      「 自分の娘? 」
      「 俺、独身だぜ、」
      「 だから 何だって言うのさ 」
      「 えっ、えっ、ちょっと待って 全く話が見えないんだけど? 」
      「 ぐだぐだ 言ってないで 会社はいいのかい もう、八時だよ 」
      「 げっ、マジ ヤバイっ 」
      聖は バタバタと着替えを済ませ 「 いってきま〜す 」
      通勤電車の中でも、会社に着いても
      聖の頭の中は 今朝の出来事について あれこれと思いが倒錯していた
      「 うぅぅぅ・・・ 」
      「 どうした、聖、熱でも有るのか? 」
      「 あっ、実は先輩、娘がね・・・
      「 おぅ、真奈ちゃんの事か? 」
      「 あ〜っ 一体なんなんだよ〜・・・

       

       


      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                   ( おかえりなさ〜い )

      あれこれと思い悩む内に 退社時間を迎えた
      聖は 通勤電車のつり革にぶら下がる様に摑まりながら 思いを巡らせた
      先ずは 家に帰ってから 如何いう風に 話を進めていけば善いのだろう
      下手な口上を吐けば 只の冷血漢扱いに終わってしまう
      なにせ 俺の中では 真奈についての事柄が皆無なのに対し
      周りの誰もが 俺の娘であると言い出すのだから
                    中々、聞き質す事は容易ではない
      うん、先ずは本人から 情報を引き出すべきであろう
      相手は 小さな女の子だから 言葉を選んで聞き質す様にしよう
      先ずは 「 ママのお名前覚えているかな? 」
      次に 「 真奈は 幾つに成ったのかな? 」
      う〜ん、情報を引き出せたとしても
               今の俺が置かれている状況が変わるのかっ?
      キ〜ッ ガチャン
      考えがまとまらない内に 電車は駅に着いてしまった
      え〜い、当って砕けろだ!!
      ゴクリ、生唾を飲み込み・・・
      聖は 自宅の玄関戸を 恐る恐る開け「 ただいま〜 」
      ダダダダダ
      「 パパ、おかえりなさ〜い 」 ピトッ
      真奈に 行き成りお出迎えされた上 抱き付かれ
            つい先程まで考えていた段取りは 一気に吹き飛んでしまう
      なにせ こんなに懐かれては
              パパも善いもんだなんて思っちまうのである
      「 真奈ちゃん、それは反則だろ〜 」

       

       


      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                     ( おパパごと )

      真奈の素性に関して それとなく聞き出そうと 試みるが
      いざ 本題に入ると 俺の言葉は 禁止ワードの様にかき消されて行く
      本人は 懸命に話しているのだが クチパク芸人の如く 声に成らないのである
      唯一、話が出来るのは 真奈 本人だけだったが これまた会話が成立しない
      「 真奈、ママの お名前は覚えてる 」
      「 うん、さっちゃんはね〜 高見幸子って言うんだよ 」
      ( は〜ぁ〜 真奈に旧姓つっても 解かんね〜だろうな )
      ( アンダーネームだけでも よしとするか )
      「 じゃあねっ ママは今 何処に居るか知ってる 」
      「 うん、あっち 」と指し示す
      ( あっちって どっちなんだよ )
      「 ウ〜ン 真奈は 幾つに成ったのかな? 」
      「 こんだけ 」と指を四本立てた
      ( 四才と言う事は 真奈は 俺が17才の時に生まれた訳だ )
      ・・・
      「 聖、母さんが昨日 腰を痛めたらしいから
                   今日は真奈を保育園に送ってやってくれ 」
      「 うん、わかった 」
      保育園は我が家の 斜め向かいに有り 送ってゆくと言った程の物ではない
      パタパタパタパタ「 ち〜ちゃん 」
      「 あのね〜 今日は 真奈 パパと来たんだよー 」
      「 へ〜 あそこに居るのが 真奈ちゃんのパパなの? 」
      「 すごく 若いパパなんだねっ 」
      「 おはようございます 」
      「 おはようございます 真奈ちゃんのクラス担当の湯月ちなみと申します 」
      「 真奈ちゃんのお父さんですか お若いんですね 」「 はぁ、」ペコッ
      「 それでは よろしくおねがいします 」
      聖が 立ち去ろうとすると クィ、クィ、と 真奈がズボンの裾を引っ張る
      「 ん! 」
      「 パパ、浮気なんかしないで 真っ直ぐ帰ってくるんですよ 」
      「 プフッ! あっ、ごめんなさい つい・・・ 」

       

       


      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                     ( ジュース )

      「 ねえ、パパ、お散歩に行こう 」
      「 美紀ちゃんも 昨日 パパと公園に行ったんだって 」
      「 真奈も お散歩に行きたいよ〜 ねえ ねえ 」
      「 わかった、わかった、連れてってやるから そう せっつくな 」
      「 やったー、おさんぽ、おさんぽ 」
      ・・・
      真奈と手を繋いで 公園に出掛けた
      行き交う人に 片っ端から手を振る 真奈を咎める訳にもいかず
      俺は 気恥ずかしさで うつむき加減で歩く
      「 パパ、どっか痛いの? 」
      「 いやっ、なんでもない 」
      顔を上げると 自動販売機が目に入った
      「 真奈、喉渇いてないか? 」「 パパ、喉がカラカラだっ 」
      ポケットに手を突っ込んで 小銭を探ったが
      「 これじゃ 一本しか買えね〜な〜 」
      「 真奈、どれが良い 」「 これ! 」
      カチャン ポン 「 あれっ 」
      カチャ カチャ カチャ 「 ダメだ 」
      ジュースはおろか 小銭さえも帰ってこない「 ついてね〜な〜 」
      「 真奈が お願いしてみる 」
      真奈は自販機に向って 手を合わせると「 ムニャ、ムニャ、ムニャ 」
      「 機械さん お願いします 」カチャッ、
      ガチャン、カコーン・・・ピピピピピッ、ピィー
      「 真奈、すげーな もう一本の当りまで出たぜ 」
      ポン ガチャン、カコーン
      「 ラッキーっ 」
      「 あそこのベンチに持っていって 其処で飲もうか? 」「 うん 」
      「 よいしょっと 」
      ゴク ゴク ゴク
      「 パパっ、はい 」
      「 なんだ もういいのか? 未だ残ってるぞ 」
      「 真奈は もう飲めないから パパにあげる 」
      ゴク ゴク
      「 パパっ、間接キスだね 」
      「 ブッ!、ゲホゲホ、ゲホ 」

       

       


      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                     ( かぐや姫 )

      「 真奈、何見てるんだ 」
      「 なんだ、かぐや姫の絵本を見てるのか〜 」
      「 パパ、此れがさっちゃんだよ 」
      「 どれどれ、へ〜っ 真奈のママはかぐや姫さんだったのか 」
      「 じゃあ、真奈は ルナリアンてえ事だね 」
      「 違うよっ、真奈は此れっ 」と絵本に指を差す
      「 真奈は、ウサギさん、ピョン、ピョン 」
      ( オッ、そう来たか )
      「 じゃあ、パパは差し詰め 浦島太郎って所か 」
      「 パパはパパだよ 」
      「 そんなの 常識でしょ 」

      カクッ!

      「 そ、そうだね 」

       

       


      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                     ( お砂遊び )

      「 あっ、あっく〜ん 」
      「 保育園のお友達か? 」「 うん 」
      「 パパ、此処で待ってるから お砂場以外は行くんじゃないよ 」
      「 は〜い 」
      ピッ、ピッ、ピコ、ピコ、
      ベンチに座って アプリゲームをしていると
      「 パパ、帰えろ〜 」
      「 なんだ、もう 飽きちゃったのか? 」
      「 だって あっくん 直に チュウしようって言うんだもん 」
      「 たく〜っ マセたガキだな〜 」
      「 真奈は チュウしないって ちゃんと言ったのか? 」
      「 言えないなら パパが言って来てやる! 」
      「 パパ、やきもち、焼いてんの 」
      「 ははははっ、そういう事に成るわけ 」

       

       


      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                      ( 遊園地 )

      今日は真奈を連れて遊園地にやって来た
      「 パパ、あれに乗ってみたい 」
      「 何々、身長120cm以上、真奈は未だ小さいから駄目だってさ 」
      「 ねえパパ、あれなら乗れる? 」
      「 あっ、これも駄目だ 」
      ( 遊園地に連れて来たものの こりゃ、失敗したかなっ )
      中央広場に着ぐるみを見つけて
      「 真奈、あそこにウサギさんがいるよ 一緒に写真でも撮ろうか? 」
      「 パパ、知らないの? あの中には人が入ってるんだよ 」
      「 そっ、そうか 」

       

       


      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                     ( ふりかけ )

      真奈は此の所 ふりかけに凝っている
      「 ふりかけ、ふりかけ、」
      「 パパのご飯にも かけたげる 」「 ありがとう 」
      「 パパ、美味しい? 」「 うん、美味しいよ 」
      次の日
      「 ふりかけ、ふりかけ、」
      「 パパ、お茶碗出して 」「 はいよ 」
      「 パパ、美味しい? 」「 うん、美味しいよ 」
      その次の日も
      「 ふりかけ、ふりかけ、」
      「 パパ、ふりかけるね 」「 はい、はい、」
      ( ん! 今日のふりかけは、なんだか変わってんなぁ )
      「 パパ、美味しい? 」
      「 真奈、お願い、チョコは 止めよう〜 チョコは 」
      「 なんで? 」
      「 う〜ん、お菓子だからだよ 」
      「 うん、判った 」 ホッ!

       

       


      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                      ( キャーッ )

       

      春の陽気に誘われて 公園の芝生の上で
      「 えいっ、」ポスッ、
      「 やぁー、」ポン、
      「 そんな攻撃は効かないぞっ チビ真奈、」
      「 捕まえて食べてやる、ガオーッ 」
      「 キャーッ 」パタ、パタ、パタ
      「 待てぇ〜 」
      「 キャーッ、変態おやじが来た〜 」
      この攻撃は効いた、聖はその場所から 一歩も動けなくなった

       

       


      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                     ( 誕生日 )

       


      「 パパっ、ツバサちゃん人形だよ 」
      「 お店の人に頼んであるから 大丈夫だって 」
      七月七日は真奈の誕生日であったが 事前に真奈から
      着せ替え人形をせがまれていた
      「 行って来まぁ〜す 」
      聖は出社すると直ちに部長のデスクに向かい
      「 部長、今日は定時で上がらせて頂けますか 」
      「 おう、わかった
         今日は真奈ちゃんの誕生日だものなぁ 」
      「 はい 」
      「 聖、帰りがけに総務の泉君から
           バースデイケーキを貰って帰るんだぞ 」
      「 はぁ? 」
      「 はぁって返事はねえだろうが 」
      「 はい! 」
      しかし 何で部長が真奈の誕生日を知ってんだ?
      其の日の仕事を終え 総務課に向うと
      「 あっ、聖君 」
      「 泉さん、部長が・・
      聖が話し終る前に
      「 これっ 」と 包みを渡され
      「 真奈ちゃん誕生日なんだって
               おめでとうございます 」
      「 あっ、ありがとうございます 」ペコ
      俺の預かり知らぬ所で
      真奈を中心に世の中が動いている様にも思える
      ・ ・ ・
      「 ただいま〜っ 」
      ダダダダ
      「 パパ、おかえり〜っ
             ツバサちゃんは? 」
      「 はい、此れだろ 」
      ダダダダダ
      ダダダダダッ
      「 パパ、ありがとッ 」チュッ
      「 真奈、いくつに成ったんだ 」
      「 パパ、女性に年齢を聞いちゃ
             ダメなんだよっ、わかった 」
      ふぅー
      「 はい、はい、わかりました 」


       

       

       

       

       

       




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