真奈 ・ 1

0

     


                    ( 何か居る )

    「 う〜ん 」・・・
    モゾ、モゾ 「 えっ! 」
    ( 布団の中に 何か居るっ )パサッ、ソロリ、ソロリ、
    聖は 布団から慎重に抜け出した!
    何が潜んでいるのか解らないが 正体を確かめねば
    意を決して 掛け布団をゆっくりと捲り上げて見る
    「 あれっ! 」
    布団の中には パジャマ姿の小さな女の子が 寝息を立てていた
    「 かあさ〜ん 」
    ・・・
    「 聖、子供じゃ有るまいし 朝から大きな声を出して 騒々しいねっ 」
    聖は 布団の中の女の子を指差し「 かあさん、この子 」
    「 あっ、真奈ちゃん 何時の間に こんな所に? 」
    「 何処の子? 」
    「 自分の娘に対して 何処の子は無いだろっ 」
    「 ほんとにっ、あたしが言いたいよっ、
              お前は 一体何処の子なんだい
                    そんな子は育てた覚えは無いよ 」
    「 自分の娘? 」
    「 俺、独身だぜ、」
    「 だから 何だって言うのさ 」
    「 えっ、えっ、ちょっと待って 全く話が見えないんだけど? 」
    「 ぐだぐだ 言ってないで 会社はいいのかい もう、八時だよ 」
    「 げっ、マジ ヤバイっ 」
    聖は バタバタと着替えを済ませ 「 いってきま〜す 」
    通勤電車の中でも、会社に着いても
    聖の頭の中は 今朝の出来事について あれこれと思いが倒錯していた
    「 うぅぅぅ・・・ 」
    「 どうした、聖、熱でも有るのか? 」
    「 あっ、実は先輩、娘がね・・・
    「 おぅ、真奈ちゃんの事か? 」
    「 あ〜っ 一体なんなんだよ〜・・・

     

     


    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                 ( おかえりなさ〜い )

    あれこれと思い悩む内に 退社時間を迎えた
    聖は 通勤電車のつり革にぶら下がる様に摑まりながら 思いを巡らせた
    先ずは 家に帰ってから 如何いう風に 話を進めていけば善いのだろう
    下手な口上を吐けば 只の冷血漢扱いに終わってしまう
    なにせ 俺の中では 真奈についての事柄が皆無なのに対し
    周りの誰もが 俺の娘であると言い出すのだから
                  中々、聞き質す事は容易ではない
    うん、先ずは本人から 情報を引き出すべきであろう
    相手は 小さな女の子だから 言葉を選んで聞き質す様にしよう
    先ずは 「 ママのお名前覚えているかな? 」
    次に 「 真奈は 幾つに成ったのかな? 」
    う〜ん、情報を引き出せたとしても
             今の俺が置かれている状況が変わるのかっ?
    キ〜ッ ガチャン
    考えがまとまらない内に 電車は駅に着いてしまった
    え〜い、当って砕けろだ!!
    ゴクリ、生唾を飲み込み・・・
    聖は 自宅の玄関戸を 恐る恐る開け「 ただいま〜 」
    ダダダダダ
    「 パパ、おかえりなさ〜い 」 ピトッ
    真奈に 行き成りお出迎えされた上 抱き付かれ
          つい先程まで考えていた段取りは 一気に吹き飛んでしまう
    なにせ こんなに懐かれては
            パパも善いもんだなんて思っちまうのである
    「 真奈ちゃん、それは反則だろ〜 」

     

     


    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                   ( おパパごと )

    真奈の素性に関して それとなく聞き出そうと 試みるが
    いざ 本題に入ると 俺の言葉は 禁止ワードの様にかき消されて行く
    本人は 懸命に話しているのだが クチパク芸人の如く 声に成らないのである
    唯一、話が出来るのは 真奈 本人だけだったが これまた会話が成立しない
    「 真奈、ママの お名前は覚えてる 」
    「 うん、さっちゃんはね〜 高見幸子って言うんだよ 」
    ( は〜ぁ〜 真奈に旧姓つっても 解かんね〜だろうな )
    ( アンダーネームだけでも よしとするか )
    「 じゃあねっ ママは今 何処に居るか知ってる 」
    「 うん、あっち 」と指し示す
    ( あっちって どっちなんだよ )
    「 ウ〜ン 真奈は 幾つに成ったのかな? 」
    「 こんだけ 」と指を四本立てた
    ( 四才と言う事は 真奈は 俺が17才の時に生まれた訳だ )
    ・・・
    「 聖、母さんが昨日 腰を痛めたらしいから
                 今日は真奈を保育園に送ってやってくれ 」
    「 うん、わかった 」
    保育園は我が家の 斜め向かいに有り 送ってゆくと言った程の物ではない
    パタパタパタパタ「 ち〜ちゃん 」
    「 あのね〜 今日は 真奈 パパと来たんだよー 」
    「 へ〜 あそこに居るのが 真奈ちゃんのパパなの? 」
    「 すごく 若いパパなんだねっ 」
    「 おはようございます 」
    「 おはようございます 真奈ちゃんのクラス担当の湯月ちなみと申します 」
    「 真奈ちゃんのお父さんですか お若いんですね 」「 はぁ、」ペコッ
    「 それでは よろしくおねがいします 」
    聖が 立ち去ろうとすると クィ、クィ、と 真奈がズボンの裾を引っ張る
    「 ん! 」
    「 パパ、浮気なんかしないで 真っ直ぐ帰ってくるんですよ 」
    「 プフッ! あっ、ごめんなさい つい・・・ 」

     

     


    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                   ( ジュース )

    「 ねえ、パパ、お散歩に行こう 」
    「 美紀ちゃんも 昨日 パパと公園に行ったんだって 」
    「 真奈も お散歩に行きたいよ〜 ねえ ねえ 」
    「 わかった、わかった、連れてってやるから そう せっつくな 」
    「 やったー、おさんぽ、おさんぽ 」
    ・・・
    真奈と手を繋いで 公園に出掛けた
    行き交う人に 片っ端から手を振る 真奈を咎める訳にもいかず
    俺は 気恥ずかしさで うつむき加減で歩く
    「 パパ、どっか痛いの? 」
    「 いやっ、なんでもない 」
    顔を上げると 自動販売機が目に入った
    「 真奈、喉渇いてないか? 」「 パパ、喉がカラカラだっ 」
    ポケットに手を突っ込んで 小銭を探ったが
    「 これじゃ 一本しか買えね〜な〜 」
    「 真奈、どれが良い 」「 これ! 」
    カチャン ポン 「 あれっ 」
    カチャ カチャ カチャ 「 ダメだ 」
    ジュースはおろか 小銭さえも帰ってこない「 ついてね〜な〜 」
    「 真奈が お願いしてみる 」
    真奈は自販機に向って 手を合わせると「 ムニャ、ムニャ、ムニャ 」
    「 機械さん お願いします 」カチャッ、
    ガチャン、カコーン・・・ピピピピピッ、ピィー
    「 真奈、すげーな もう一本の当りまで出たぜ 」
    ポン ガチャン、カコーン
    「 ラッキーっ 」
    「 あそこのベンチに持っていって 其処で飲もうか? 」「 うん 」
    「 よいしょっと 」
    ゴク ゴク ゴク
    「 パパっ、はい 」
    「 なんだ もういいのか? 未だ残ってるぞ 」
    「 真奈は もう飲めないから パパにあげる 」
    ゴク ゴク
    「 パパっ、間接キスだね 」
    「 ブッ!、ゲホゲホ、ゲホ 」

     

     


    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                   ( かぐや姫 )

    「 真奈、何見てるんだ 」
    「 なんだ、かぐや姫の絵本を見てるのか〜 」
    「 パパ、此れがさっちゃんだよ 」
    「 どれどれ、へ〜っ 真奈のママはかぐや姫さんだったのか 」
    「 じゃあ、真奈は ルナリアンてえ事だね 」
    「 違うよっ、真奈は此れっ 」と絵本に指を差す
    「 真奈は、ウサギさん、ピョン、ピョン 」
    ( オッ、そう来たか )
    「 じゃあ、パパは差し詰め 浦島太郎って所か 」
    「 パパはパパだよ 」
    「 そんなの 常識でしょ 」

    カクッ!

    「 そ、そうだね 」

     

     


    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                   ( お砂遊び )

    「 あっ、あっく〜ん 」
    「 保育園のお友達か? 」「 うん 」
    「 パパ、此処で待ってるから お砂場以外は行くんじゃないよ 」
    「 は〜い 」
    ピッ、ピッ、ピコ、ピコ、
    ベンチに座って アプリゲームをしていると
    「 パパ、帰えろ〜 」
    「 なんだ、もう 飽きちゃったのか? 」
    「 だって あっくん 直に チュウしようって言うんだもん 」
    「 たく〜っ マセたガキだな〜 」
    「 真奈は チュウしないって ちゃんと言ったのか? 」
    「 言えないなら パパが言って来てやる! 」
    「 パパ、やきもち、焼いてんの 」
    「 ははははっ、そういう事に成るわけ 」

     

     


    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                    ( 遊園地 )

    今日は真奈を連れて遊園地にやって来た
    「 パパ、あれに乗ってみたい 」
    「 何々、身長120cm以上、真奈は未だ小さいから駄目だってさ 」
    「 ねえパパ、あれなら乗れる? 」
    「 あっ、これも駄目だ 」
    ( 遊園地に連れて来たものの こりゃ、失敗したかなっ )
    中央広場に着ぐるみを見つけて
    「 真奈、あそこにウサギさんがいるよ 一緒に写真でも撮ろうか? 」
    「 パパ、知らないの? あの中には人が入ってるんだよ 」
    「 そっ、そうか 」

     

     


    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                   ( ふりかけ )

    真奈は此の所 ふりかけに凝っている
    「 ふりかけ、ふりかけ、」
    「 パパのご飯にも かけたげる 」「 ありがとう 」
    「 パパ、美味しい? 」「 うん、美味しいよ 」
    次の日
    「 ふりかけ、ふりかけ、」
    「 パパ、お茶碗出して 」「 はいよ 」
    「 パパ、美味しい? 」「 うん、美味しいよ 」
    その次の日も
    「 ふりかけ、ふりかけ、」
    「 パパ、ふりかけるね 」「 はい、はい、」
    ( ん! 今日のふりかけは、なんだか変わってんなぁ )
    「 パパ、美味しい? 」
    「 真奈、お願い、チョコは 止めよう〜 チョコは 」
    「 なんで? 」
    「 う〜ん、お菓子だからだよ 」
    「 うん、判った 」 ホッ!

     

     


    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                    ( キャーッ )

     

    春の陽気に誘われて 公園の芝生の上で
    「 えいっ、」ポスッ、
    「 やぁー、」ポン、
    「 そんな攻撃は効かないぞっ チビ真奈、」
    「 捕まえて食べてやる、ガオーッ 」
    「 キャーッ 」パタ、パタ、パタ
    「 待てぇ〜 」
    「 キャーッ、変態おやじが来た〜 」
    この攻撃は効いた、聖はその場所から 一歩も動けなくなった

     

     


    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                   ( 誕生日 )

     


    「 パパっ、ツバサちゃん人形だよ 」
    「 お店の人に頼んであるから 大丈夫だって 」
    七月七日は真奈の誕生日であったが 事前に真奈から
    着せ替え人形をせがまれていた
    「 行って来まぁ〜す 」
    聖は出社すると直ちに部長のデスクに向かい
    「 部長、今日は定時で上がらせて頂けますか 」
    「 おう、わかった
       今日は真奈ちゃんの誕生日だものなぁ 」
    「 はい 」
    「 聖、帰りがけに総務の泉君から
         バースデイケーキを貰って帰るんだぞ 」
    「 はぁ? 」
    「 はぁって返事はねえだろうが 」
    「 はい! 」
    しかし 何で部長が真奈の誕生日を知ってんだ?
    其の日の仕事を終え 総務課に向うと
    「 あっ、聖君 」
    「 泉さん、部長が・・
    聖が話し終る前に
    「 これっ 」と 包みを渡され
    「 真奈ちゃん誕生日なんだって
             おめでとうございます 」
    「 あっ、ありがとうございます 」ペコ
    俺の預かり知らぬ所で
    真奈を中心に世の中が動いている様にも思える
    ・ ・ ・
    「 ただいま〜っ 」
    ダダダダ
    「 パパ、おかえり〜っ
           ツバサちゃんは? 」
    「 はい、此れだろ 」
    ダダダダダ
    ダダダダダッ
    「 パパ、ありがとッ 」チュッ
    「 真奈、いくつに成ったんだ 」
    「 パパ、女性に年齢を聞いちゃ
           ダメなんだよっ、わかった 」
    ふぅー
    「 はい、はい、わかりました 」


     

     

     

     

     

     




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